間違ってもいいから思いっきり

私たち人間は、言葉で物事を考えている限り、あらゆるものを「是か非か」と格付けする乱暴な○×ゲームに絶えず影響されています。ここでは、万人が強制参加させられているこの言語ゲームを分析し、言葉の荒波に溺れてしまわないための知恵を模索していきます。

子育て・教育の問題点

どちらを想定外にしますか?

「何でこんな簡単なこともできないんだ?」というのは、教えるのが下手糞な人の決まり文句です。 できない人に教えるための第1歩は「できないということがどこまでありうるか」という想像力の範囲を広げること。 このことを、中学校の理科で習う電流計にた…

死なないための損得勘定によって「真理」は造られた

この世界において「生き延びたい」という都合を持った参加者がまず考えることは、「死なないためにはどうすれば良いか」という損得勘定です。 暖をとること・食べること・寝ることの3つに関しては、生き延びるためにどうにかして満たさないといけないでしょ…

のほほんと気楽に生きる方法

文明社会を生きる人間がのほほんと気楽に生きていられなくなってしまう主な原因は、さまざまな言葉の指し示す内容を真に受け過ぎてしまうから。 その中でも、○か×かのレッテルを貼り付ける「善悪」の概念は、どんな物事にも大袈裟な意味を与えてしまうその性…

教師の仕事は生徒の力を伸ばすことではない

「力を伸ばしてもらおう」と思って授業を受けるのと「ただ時間が過ぎるのを待とう」と思って授業を受けるのとではどちらがたちが悪いか。 この問いに対する私の回答は、「力を伸ばしてもらおう」と思っている子の方が「自分の力が伸びるかどうか」を他人任せ…

駄目出しは人格否定じゃない

何か思うように上手くいかないことがあるとき、自分では「何がいけなくて上手くいっていないか」がよく分からないときがあります。 そんなときに便利なのが、自分より上手いと思える人の目から見た「自分への駄目出し」です。 あらゆる物事に通じる「素早い…

好ましい世界は自分たちで作るしかない

自分が今いる場所が「ろくでもない場所」であり、まわりにいるのは「ろくでもない人間」ばかりなので、「そうではない社会」を創造したいと望む人がいるかもしれない。 残念ながらその望みは原理的に実現不能である。 人間は自分の手で、その「先駆的形態」…

銃社会生まれのグローバリズム

グローバリズムとは、株式会社というフィクションを延命させ、国民国家というフィクションを終わらせるために、アメリカの新自由主義者たちが広めた不自然で作為的なイデオロギーである。 これが平川克美の著書『グローバリズムという病』におけるグローバリ…

クソみたいな現実に立ち向かう

キーチ!! 8 (ビッグコミックス)作者: 新井英樹出版社/メーカー: 小学館発売日: 2006/02/28メディア: コミック購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (24件) を見る 新井英樹は、その過激な作風で知られる漫画家。 理不尽な無差別殺人犯、斡旋業者に大…

ヒトは特別な動物ではない

戦争やテロや殺人事件など「人殺しが起きた」というニュースは、私たちの生きる現代社会では「許されざる悲劇」として毎日のように伝えられています。 また、熊や猪など大型獣の駆除、魚介類の漁、食用に育成した家畜の屠殺、犬や猫の殺処分、殺虫剤による虫…

一神教ってなあに?

昔むかし、あるところに、七人家族が暮らしていました。「戦後日本」と、表札が出ていました。家族は両親と、五人のきょうだい。「日本国憲法」「民主主義」「市場経済」「科学技術」「文化芸術」という名の、いい子たちでした。でもある日、五人とも、養子…

嫌いな相手を追い詰める方法

2014年11月2日に放送された「ニュースな晩餐会」というバラエティ番組にて、小学校の宿題をお金で請け負う業者が紹介されました。 それによると計算ドリルなどの単純な宿題の代行だけでなく読書感想文や絵日記の代行なども行われているらしく、代行が教師に…

おすすめの叱り方を紹介します

あなたは正しい叱り方を知っていますか。 「叱る」という行為は、家庭・学校・習い事・職場など、社会のさまざまな場所で行われます。 中には「どう叱っていいのかわからない」と悩んでいる人もいるでしょう。 私は「このように叱るのが正しい」と言える方法…

どうせなら背中で語ろう

給食残してしかられた俺の体を本当に心配してたのか嫌いなもの口につめこまれた常識的な発言と非常識な行動だうまけりゃ喰う これはザ・ハイロウズの『ゲロ』という曲の冒頭の歌詞です。 ここには「あなたのため」という大義名分のもとに、嫌いなものを無理…

なぜ勉強しなければならないのか

なぜ勉強しなければならないのか。 これは、近代教育の制度がすでに完備された国々で、多くの子どもたちが頻繁に口にする愚痴です。 <a href="http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2014/04/08/084900" data-mce-href="http://mrbachikorn.hatenablog…

日本の英語教育は無意味か

巷でよく言われている学校教育への文句に「日本の英語教育は効率が悪い」というものがあります。 このクレームの主な根拠は、中学・高校と6年間も英語教育に時間を費やしておきながら、ほとんどの日本人が学校教育だけでは英語で話せるようにはなっていない…

子育てを失敗したと思っている親たちへ

学習は本能です。どんな人も伸びています。あなたの物差しでは測れなくても。 これは、前回紹介した『強育論』にある宮本哲也の言葉を、私なりの教育観に合わせてアレンジしたものです。 ちなみに、彼のオリジナルバージョンは以下の通りです。学習は本能で…

過干渉を戒める劇薬

学習は本能です。どんな子でも伸びます。親が余計なことをしない限り。 強育論-The art of teaching without teaching- 作者: 宮本哲也 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2004/03/17 メディア: 単行本 購入: 6人 クリック: 19回 …

お利口なワンちゃんが好きですか

「ホンマでっか!?TV」は、様々なジャンルの専門家や評論家たちに最新の研究結果や専門家の知見などを次々と披露してもらい、それに対して明石家さんまを始めとするタレントたちが面白おかしくリアクションを加えていくという情報バラエティ番組です。 この…

数学が得意になったわけ

私は小さなころから世間を狭くして生きてきました。 小学校が終わってから遊ぶ友達などもほとんどいないし、家は母子家庭で親は21時頃まで家に帰ってこないので、弟と家で遊ぶかテレビを見てボーっとするくらいしかやることがありません。 厳密に言うと、放…

歩兵教育の惰性

「安易に学級崩壊という言葉を使うのはおかしいのではないか」 そう私に語りかけてきたのは、小学校で勤める友人。 彼女は日本人なのですが、家族の仕事の関係で海外生活が長く、初等教育はドイツで受けています。 そのため彼女は、日本の初等教育のあり方を…

バカリズムに学ぶ排泄の習慣づけ

2012年12月29日に放送された「すべらない話」の中で、お笑い芸人のバカリズムは排泄に関するディープな告白をしました。 それは彼が自宅のリビングでくつろいでいるときに起きました。 テレビを観ているときに尿意を催した彼はわざわざトイレに行くのを面倒…

洗脳だったら何なのか

当ブログのテーマは、良くも悪くも私たちの生き方を振り回してしまう言葉の影響力。 私たちの印象を左右し、行動の方針を説得し、ものの見方を刷り込み、気付かないうちに私たちを洗脳していくのが言葉です。 <a href="http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2014/05/23/035700" data-mce-href="http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2014/05/23/035700">失われた神を求めて - 間違ってもいいから思いっ</a>…

流行と常識と思想

13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。 これは、途上国の子どもに教育を与えていこうと活動している国際NGO「プラン」の日本支部による、「Because I am a Girl」という啓蒙キャンペーンの広告です。 このキャッチコピーを見て、あなたは何を感じと…

上辺だけで終わらないために

高校で受験数学を教えながらプライベートでは和太鼓や民舞の普及に努める私にとっての心の師は、思想家にして武術家でもある神戸女学院大学の内田樹です。 彼はその著書『邪悪なものの鎮め方』の中で、技芸における停滞について次のように語っています。 邪…

夢の呪縛

夢とは元々、眠っているときの脳内体験のことを言います。 夢の中での出来事はバーチャルなものですから、覚醒している時とはかけ離れた体験をすることもあります。 ですから、私たちが使用する「夢のような」という喩え文句には、「現実離れした」といった…

打算で夢を語るな

2014月3月20日放送の深夜番組「アメトーーク!」にて、お笑い芸人の小籔千豊が「テレビに出てる人間が夢は叶うなんて軽々しく言って回るな」という持論を披露して注目を浴びました。 インターネット上では「よくぞ言ってくれた」と評価する声もあれば、「今…

制度は動機を内面化する

私は現役の数学教師ですが、一般的な教師像とはかなりかけ離れた信条の持ち主だという自覚があります。 それは、私自身が教育そのものに対するありがちな動機を内面化していないから。 内面化というと何やら難しい言葉に聞こえますが、要は「学校での教育は…

数学の特権

果たして数学はヒトの教育に必要不可欠なものか。 現役の数学教師である私の答えはノーです。 もしヒトの成長に数学が必要不可欠というのであれば、近代教育の普及していない国は未熟者だらけだと言っているのと同じ。 世の中にはそのような考え方もあると思…

友達はいらない

私たち人間は、言葉で物事を考えている限り、あらゆるものを「是か非か」と格付けする乱暴な○×ゲームに絶えず影響されています。 この野蛮な影響力は、様々な人間関係から立体的に編み出されていく集団心理の賜物。 この集団心理の怖さを物語るような場面が…

真理ムラの癒着と圧力

日本における原子力発電の安全神話は、2011年3月11日に起きた福島第一原発の危機的事故をきっかけに崩壊しました。 ですが、それまでの日本では原発推進が国の規定路線としてまかり通っており、反原発を声高に唱えるような人は社会的圧力によって村八分にさ…