真面目なふりして
つまらないことで
悩んだふりする
たまにゃおもしろい
なんだかんだ気分次第
自由になら一秒でなれる
夏の朝にキャッチボールを
寝ぼけたままナチュラルハイで
幸せになるのには別に誰の許可もいらないyoutube.com
これはザ・ハイロウズの『夏の朝にキャッチボールを』という曲の歌詞。
- アーティスト: THE HIGH-LOWS,三宅伸治,たかたかし,真島昌利,甲本ヒロト,IAN HUNTER,CHUCK BERRY
- 出版社/メーカー: キティMME
- 発売日: 2001/01/24
- メディア: CD
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この曲を聴いた二十代前半のころ、私が考えていたのは以下のようなことでした。
幸せのために最優先で取り組むべき課題は「楽しみ」を生み出すことであり、人生におけるその他の要素は2番手以降の雑事に過ぎない。
そして世の中の全ての不幸は、その優先順位の取り違えから生まれる。 mrbachikorn.hatenablog.com
そんな当時の考えをズバリ代弁してくれるような心地よさがこの歌にはありました。
私がしびれたのは、引用した中でも特に最初の四行。
真面目なふりして
つまらないことで
悩んだふりする
たまにゃおもしろい
私はこの歌詞を「真面目ぶって悩むというのは人生を充実させるためのオプションとして本人が敢えて選んでいる自作自演の営みに過ぎない」という風に受け止めました。mrbachikorn.hatenablog.com
また、ボーカルの甲本ヒロトは別の機会にこんな発言もしています。
悩むことは当たり前だしそれこそがダイナミズムだと思うんだよ。
それを楽しめないともったいないよ。
がっかりするときは思いっきりがっかりしたり、失望したり切望したり恋が叶ってもいいし失恋してもいいし、その瞬間をしっかりつかまえて心臓が張り裂けるようなダイナミズムを味わうってことがもっとも贅沢な生き方じゃん。
悩みをまるで「人生のアトラクション」のように積極的にとらえるヒロトはまた、「なんだか僕は地球というテーマパークに生まれたような気持ちがするよ。パスポートを持って」とも語っています。
これらの発言は「悩みは楽しむための材料に過ぎない」「悩み<<<<<楽しみ」という優先順位が整理できている人にしか言えない類いのもの。
こんな視点からとらえるならば、もし仮に本人が「真剣に思い詰めて悩んでいる」つもりであったとしても、よそから見れば「人生の充実のために真面目なふりしてつまらないことで悩んだふりをしているだけ」「自ら進んで悩みたくて悩んでいるだけ」などと解釈することができます。
私がこの四行の詞に惚れ込んだのは、悩みと楽しみの優先順位を取り違えて「自ら編み出した不幸」を嘆きたがっている人たちへのクールな眼差しを、シンプルかつ絶妙に表現できていたからでした。
このような発想の転換さえできていれば、今まさに自分が悩んでいる最中であっても「充実した人生の楽しみ」の一環なのだと理解できる。
そして、人生を楽しむ心さえあれば「幸せな感じ」だって気分次第でいつでも手に入れることができる。
そんな今すぐ入手可能な「幸せな感じ」の具体例の一つとして提示されたのが、夏の朝のキャッチボールだったのでしょう。
真島昌利が作詞した「幸せになるのには別に誰の許可もいらない」というこの心境を、ヒロトは自分なりに「幸せを手に入れるんじゃない。幸せを感じることのできる心を手に入れるんじゃ」と表現しています。
つまり、幸せかどうかは外部の状況によって仕方なく決められるものではなく、自分の受け取りかた次第で自在に決められるものだということです。mrbachikorn.hatenablog.com
ヒロトの言う「幸せを感じることのできる心」とは「楽しけりゃいい」の精神だと言い換えることもできます。
このことについてヒロトは何度か言及していますので、その一端を紹介してみましょう。
楽しいと思った瞬間がゴールなんだ。
楽しけりゃいいじゃんと思ってる人間が楽しいと思ったら、もうその先はないんだ。
楽しけりゃいいんだよってことしかずっと言ってないんだけど、これは本質を煙に巻くためでも何でもなく本当のことなんだ。
それが本質なんだ。
「楽しさこそがゴールであり他のことは本質ではない」「その先に何があるかなんて雑念がこの本質を見失わせる」といった彼らの強烈な信念は、自分なりのやり方でものを考えて始めた大学時代の自分に「これでいいんだ」と背中を押してくれる頼もしい存在でした。
私が今「気持ち良ければそれでいい」「楽しければそれでいい」「その他の雑音はほっとけばいい」という発信をブログでしているのも、彼らの痛快な活動に心底触発されていたから。mrbachikorn.hatenablog.com
この地球というテーマパークには、私たちが楽しめるアトラクションがあちこちに転がっています。
どうせなら自分なりのやり方で「楽しみ」をどんどん生み出していって、その一瞬一瞬をダイナミックに味わっていきたいですね。
※当ブログの主なテーマは、この世界を支配する「正しさ」という言葉のプロレスとの付き合い方mrbachikorn.hatenablog.com
※そのプロレス的世界観を支えている「記述信仰」の実態を、簡単な図にしてまとめています。mrbachikorn.hatenablog.com