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間違ってもいいから思いっきり(市井人の日曜研究)

私たち人間は、言葉で物事を考えている限り、あらゆるものを「是か非か」と格付けする乱暴な○×ゲームに絶えず影響されています。ここでは、万人が強制参加させられているこの言語ゲームを分析し、言葉の荒波に溺れてしまわないための知恵を模索していきます。

選挙制度の問題点から「支持政党なし」の主張を分析する

 2014年の第47回衆議院選挙で、「支持政党なし」という変わった名前の政党が北海道比例ブロック有効票の4.2%にあたる104854票を獲得しました。
mrbachikorn.hatenadiary.jp
 この党は、2016年の第24回参議院選挙でも比例代表全国区に2名立候補し、北海道、東京、神奈川、大阪、熊本の5選挙区で候補を擁立しました。
 
 「支持政党なし」の理念は、政党としての政策理念を全く持たずに、ただただ支持者の民意を国会での議決にできるかぎり反映させること。
 個別の法案ごとに支持者から賛否の声をネットやスマホで集め、当選した議員はその支持者の声の比率のままにしか議決権を行使しないというのが彼らの公約です。
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 この斬新過ぎる政党に対するリアクションはさまざま。
 その理念を「おもしろい」と好意的に評価する、「支持政党なし」が党名だと気付かない有権者から票を騙し取ろうとしていると決め付ける、その両論を併記して問題提起だけする、などなど。
 
 「支持政党なし」が問題にしているのは、現行の選挙制度では国民の声が政治にきちんと反映されないということ。
 たとえば、仮に「この人なら信頼できる」と思えた人に票を投じてその人が当選したところで、その議員が何らかの政党に所属していれば議決権は党の方針のためのコマとして消費されるだけで、選挙民の意志を反映するためには使われません。
 政党というものが所属議員の議決行為を支配している限り、有権者は既存の政党から自分に合うところを見付けるしかないわけで、全ての法案について意見が合致するような党を見付けるのは至難の業です。
 
 このようにして支持政党が見付けられずに困っている有権者にとって必要なのは、議員や政党に民意を代表させる間接民主主義ではなく、全ての議決に有権者みんなが関わる直接民主主義だというのが「支持政党なし」の考え方です。
 つまり、政策を全く掲げずにネットによる直接民主主義を目指すという「支持政党なし」の手法は、「現行の選挙制度のままでは民意を反映できないじゃないか」という類の民意を「現行の選挙制度の範囲内」で国家に突き付けるためのアイデアとも見れるわけです。
 
 この政党が党名を「支持政党なし」にした意図も、有権者から票を騙しとるためというよりは、現行の選挙制度を不満に思う人の声を「実際の選挙結果」という形ある姿にして届けるためと考えた方が妥当でしょう。
 だいたい、支持する政党を持たない人が「支持政党なし」のことを知らずに投票所にやってきて、わざわざ「支持政党なし」「支持なし」という言葉を選んで投票用紙に書いて帰るという事態が果たしてどれだけ起こるというのか。
 選挙演説をし、ポスターを貼り、ホームページやブログやテレビや雑誌の取材などを通じて積極的にPRしようとしている人たちが、立候補者一人あたり数百万円の供託金を払った上で、確率の薄い誤投票だけを狙っているというのは辻褄が合わないでしょう。
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 当選した後はネットによる直接民主主義を目指すという公約がどこまで信頼できるものかは分かりませんが、彼らは少なくとも「支持政党なし」が政党名だと有権者に分かってもらった上で、現状の政党政治に不満があるなら自分たちに投票することでアピールの機会にして欲しいと望んでいるはずです。
 世間の注目は「既存の枠内での勢力争い」にばかり集まりがちですが、その枠組み自体を問いただそうとする姿勢も忘れずにいたいものですね。
 
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