間違ってもいいから思いっきり(市井人の日曜研究)

私たち人間は、言葉で物事を考えている限り、あらゆるものを「是か非か」と格付けする乱暴な○×ゲームに絶えず影響されています。ここでは、万人が強制参加させられているこの言語ゲームを分析し、言葉の荒波に溺れてしまわないための知恵を模索していきます。

空飛ぶバチコーン打法

 私の15年の和太鼓歴の中で一番衝撃的だったのが、和太鼓を始めてちょうど1年のころに教わった田楽座流の打法。
 天井に刺さっているバチを全体重で引っこ抜くように打つという喩えを聞いて以来、どんな曲もその喩えの通りに打てるようになろうと、身体の使い方を研究し続けてきました。
 その成果を後輩たちにも伝えるために、オリジナルの喩えや練習法なども色々と考案し、自分なりに導きだした成果を「バチコーン打法」と名付けて広めたりしています。
 
 田楽座流の打法に自分なりにアレンジを加えた「バチコーン打法」を使っていると、よく受ける評価が「めちゃめちゃ音がデカイ」「バチを振り上げる動作が柔らかい」「めちゃめちゃ飛んでる」など。
 特に、最後の「めちゃめちゃ飛んでる」に関しては、私だけの特別な個性のような言われ方をすることが多いです。
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 一般に和太鼓とは、ずっしりと低く構えた姿勢から整然と打ち降ろすのが普通だととらえられがち。
 そんな打つ動作にジャンプを加えるというのは、派手に見せたいときだけに行う特殊なアレンジだと受け取られてしまうのです。
 
 ですが「バチコーン打法」における「ジャンプ打ち」は、基本の打ち方を身に付けるための通過点。
 喩えるならば、まだ自力では泳げない人が補助的に使用するビート板と同じ位置づけなのです。
 
 バチコーン打法の要点は、重心を上方に浮かす勢いで腕ごとバチを放り投げ、重心を真下に垂直落下させる勢いで和太鼓の打面の上にバチで着地するように打つというもの。
 このときに重要になる「重心を真下に垂直落下させる」という動作が、身体を固定させることに慣れた現代人にはなかなか理解し難いようです。
 そんな人に垂直落下の感覚を感じとってもらうためには、軽くジャンプしてバチごとドサッと太鼓に着地してもらいます。
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 このジャンプ打ちの練習が上手くいけば、次はジャンプしなくてもその場で垂直落下するという練習をしてもらいます。
 それでもできない場合は、直前に爪先立ちになって重心を浮かした直後に、大きく開脚して両足を空中に浮かすことで落下上体を生み出します。
 
 こうした練習の目標は、足腰や胴体を柔軟に使って、いつでもどこでも重心を浮かしたり落としたりできるようになること。
 そんなバチコーン打法ですから、太鼓を打つときにジャンプをするというのは特別なことでもなんでもなく、むしろ入門の動作に戻るというだけのことなんです。