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間違ってもいいから思いっきり(市井人の日曜研究)

私たち人間は、言葉で物事を考えている限り、あらゆるものを「是か非か」と格付けする乱暴な○×ゲームに絶えず影響されています。ここでは、万人が強制参加させられているこの言語ゲームを分析し、言葉の荒波に溺れてしまわないための知恵を模索していきます。

向上心の行方

 私の和太鼓のキャリアは15年ちょっと。
 その和太鼓のキャリアの中で、私の向上心は以下のように移り変わっていきました。
 
 まず最初のころは「いろんな曲を覚えたい」というだけでしたが、和太鼓を初めて2年目に長野の歌舞劇団田楽座から教えを受け、ただ曲を覚えるだけでなく「いろんな曲をしっかり全身で打ち込めるようになりたい」と目指すようになります。
 その頃は幸運にも同じような熱量を持った太鼓仲間が周囲に何人もいたため、「仲間たちと高いレベルで気持ちいい演奏をしたい」という目標も同時に持つことができました。
 
 それから自分のチームにも後輩が入ってくるようになり、3~4年目からは指導者的な立場で「気持ちのいい演奏をするために後輩たちを磨きあげたい」という目標を持つようになります。
 自分のチーム内に、高いレベルで囃しあえる仲間と、打てば響いてくれる後輩たちが何人もいたこの時代は、私の太鼓人生の中でも一番輝いていた青春期です。
 
 和太鼓を始めて4年目からは田楽座の魅力をもっと伝えたいと思うようになり、他団体との交流を盛んにするようになります。
 この時期から徐々に、気心の知れた仲間たちと演奏を楽しむだけでなく、「他団体との合同演奏の場を盛り上げることを通じて思いっきり遠慮なく演奏する楽しみを広げたい」という難しい目標にトライし始めるようになります。
 
 そんな活動を福岡でしばらく続けるうちに福岡の太鼓仲間の輪も大きくなり、さらに別の視点からの目標は持てないものかと模索し始めるようになります。
 そうして9年目にはいったん福岡を離れ、関西を拠点に東海や関東などの和太鼓の現状を観て回りました。
 
 その中で「和太鼓をやってみたい」と訴えかける人に出会い、謀らずも「和太鼓に触れたことがなかった人達を集めて太鼓チームを一から作り上げ、太鼓好きの人口増加に貢献したい」という目標を抱くことになります。
 そうして西宮と福岡に和太鼓チームを作り、自主的に活動していけるようになるまで育てようとしていきました。
 
 そして15年目になる現在、目標としているのは、これまで草の根的に普及に努めてきた「全身で思いっきり演奏する楽しみ」が自分のいない場所でも勝手に広まってくれるような仕組みを考えること。
 その根本となるのが「確かな重心操作を活用する打法」を身に付けることだと私は考えているのですが、丁寧なレクチャー無しにはなかなか身に付け難い技術なので、今のところは上手くいっているとは言えません。
 ですから、近いうちに「確かな重心操作を活用する打法」を習得するための分かりやすいマニュアルをまとめ上げ、全国の仲間たちに手渡していけたらと思いながら、日々研究を繰り返しているところです。