内田樹を読む
自分が今いる場所が「ろくでもない場所」であり、まわりにいるのは「ろくでもない人間」ばかりなので、「そうではない社会」を創造したいと望む人がいるかもしれない。 残念ながらその望みは原理的に実現不能である。 人間は自分の手で、その「先駆的形態」…
「科学の目的は予測と制御であり真理の探究ではない」というのが構造主義者である高田明典の持論です。 これはつまり、 神のような立場でなければ「なぜ世の中がこうなっているのか」に関する究極の理由なんて知りようがないのだから、神の立場にない私たち…
アメリカと日本の関係は、藤子不二雄Fの漫画『ドラえもん』における乱暴者ジャイアンとその舎弟スネ夫との関係のように喩えられることがあります。 その現状が不満な日本人の中には、主権国家である日本は出来杉くんのような自立した優等生を目指すべきだと…
史上最大級のジェノサイドとして有名なのが、第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって行われたユダヤ人の虐殺です。 ホロコーストとも呼ばれるこの組織的殺戮の目的はユダヤ人の根絶だとされており、その犠牲者の総数は1100万人以上とも言われています。 …
勝てば官軍、負ければ賊軍。 このことわざは、たとえ道理にそむいても戦いに勝った者が正義となり負けた者は不正となるという意味であり、戦いの勝敗によって物事の正邪善悪が決まってしまうことを表しています。 今日私たち日本人は、近現代史の官軍である…
巷でよく言われている学校教育への文句に「日本の英語教育は効率が悪い」というものがあります。 このクレームの主な根拠は、中学・高校と6年間も英語教育に時間を費やしておきながら、ほとんどの日本人が学校教育だけでは英語で話せるようにはなっていない…
当ブログの目的は、気付かないうちに私たちを洗脳していく言葉の影響力について、様々な角度から見つめ直していくこと。 http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2014/06/29/053200 中でも特に力を注いでいるのが、「言葉はそもそも何のためにあるのか」と…
高校一年生の頃、私は筒井康隆の『やつあたり文化論』というエッセイ集と出会いました。 この本の冒頭に収録されていた「ゴルフ嫌い」というエッセイは、当時の私に強烈なインパクトを与えます。 やつあたり文化論 (新潮文庫 つ 4-9) 作者: 筒井康隆 出版社/…
私が内田樹の文章と初めて出会ったのは、大学院生だった2005年の夏。 彼は2005年5月3日に投稿した「憲法記念日なので憲法について」というブログ記事の中で、トリッキーな独自の護憲論を展開していました。 http://blog.tatsuru.com/archives/000961.php 『…
以前勤めていた高校で10人にも満たない少人数クラスを受け持っていた頃、教室内にミニチュアの七夕飾りを作ったことがありました。 そのときはクラスの全員が短冊に願い事を書き、教室で育てている鉢植えにそれらを吊るしていきました。「10キロ痩せたい」 …
私たちのものの考え方は、物質的な状況や思想的な流行といった時代ごとの背景に大きく左右されています。 以前の記事では、レヴィ=ストロースの提唱した構造主義やその著書『野生の思考』が現代社会を生きる私たちに与えている影響について、ごくごく簡単な…
高校で受験数学を教えながらプライベートでは和太鼓や民舞の普及に努める私にとっての心の師は、思想家にして武術家でもある神戸女学院大学の内田樹です。 彼はその著書『邪悪なものの鎮め方』の中で、技芸における停滞について次のように語っています。 邪…
夢とは元々、眠っているときの脳内体験のことを言います。 夢の中での出来事はバーチャルなものですから、覚醒している時とはかけ離れた体験をすることもあります。 ですから、私たちが使用する「夢のような」という喩え文句には、「現実離れした」といった…
この世界は、各々の都合と都合とがしのぎを削る弱肉強食の説得合戦の場。 たとえば人間の赤ん坊だって、この説得ゲームの熱心なプレイヤーの一人です。 彼らは可愛らしさを武器にして周囲の大人たちを自分に都合のいいように操りますし、気に入らないものに…
成人の基準というのは場所や時代によって様々ですが、現在の法治国家においては法律によって年齢のみで決められていることがほとんど。 どの国の成人の年も、だいたい14~21歳の間に収まっています。 しかし、そういった法律が定める成人の基準とは別に、「…
この世を仕切る「正しさ」という物差しなどどこにも存在せず、世界にはただ「都合と力のバランス」があるだけ。 http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2014/03/18/064700 こう考えていた大学時代、私にとって「正しさを競う舞台」としての言論の世界は非…