間違ってもいいから思いっきり

私たち人間は、言葉で物事を考えている限り、あらゆるものを「是か非か」と格付けする乱暴な○×ゲームに絶えず影響されています。ここでは、万人が強制参加させられているこの言語ゲームを分析し、言葉の荒波に溺れてしまわないための知恵を模索していきます。

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

オカルトの誘惑

20世紀中盤に活躍したカナダ人医師のワイルダー・ペンフィールドは、30年間で750人ほどのてんかん手術を手がけました。 数々の開頭手術の中で彼は、局部麻酔した患者の脳のさまざまな箇所に直接電極を当てて、その際の患者の様子や感想を克明に記録していき…

核ミサイルまがいの潜在意識ビジネス

言葉とは、私たちの脳に無数の思い込みを書き込んでいく暗示プログラムのようなもの。 自覚なく不用意に植え付けられた浅はかな思い込みは、人々の生き方を無闇に縛りつけてしまいます。 そうした刷り込みの影響力を当たり前に考慮に入れて全ての言動と付き…

失われた神を求めて

数千年前の古代人たちは、現代の私たちが抱いているような主観的で意識ある心を持ち合わせておらず、右脳から聴こえてくる神々の声に従って生きていた。 前々回の記事で紹介したジュリアン・ジェインズは、1976年に刊行した『神々の沈黙』でこの途方もない仮…

意識の役割

意識とか心とか魂などと呼ばれている〈私〉たちの内面的な情景は、〈自分〉という肉体の生理機能が演出している幻のようなもの。 そのおかげで〈私〉たちはそれぞれの肉体の主のような錯覚に捕らわれていますが、「実際の主は肉体そのものの方であり、意識な…

心は体の主人ではない

意識の正体は何か。 そして、それはどこから生まれてきたのか。 この伝統的な問題を長年にわたって研究してきたプリンストン大学のジュリアン・ジェインズは、1976年に刊行した『神々の沈黙—意識の誕生と文明の興亡』において次のような仮説を打ち立てました…

世界は比喩でできている

一般に比喩と言えば、言葉を文字通りの使い方や標準的な使い方とは別の方法で用いることを指します。 例えば〈草食男子〉という喩えは、文字通りの「草を食べる男の子」とは違った意味合いで使われる言葉です。 今回は、この比喩という概念を拡大解釈するこ…

夢の呪縛

夢とは元々、眠っているときの脳内体験のことを言います。 夢の中での出来事はバーチャルなものですから、覚醒している時とはかけ離れた体験をすることもあります。 ですから、私たちが使用する「夢のような」という喩え文句には、「現実離れした」といった…

打算で夢を語るな

2014月3月20日放送の深夜番組「アメトーーク!」にて、お笑い芸人の小籔千豊が「テレビに出てる人間が夢は叶うなんて軽々しく言って回るな」という持論を披露して注目を浴びました。 インターネット上では「よくぞ言ってくれた」と評価する声もあれば、「今…