間違ってもいいから思いっきり

私たち人間は、言葉で物事を考えている限り、あらゆるものを「是か非か」と格付けする乱暴な○×ゲームに絶えず影響されています。ここでは、万人が強制参加させられているこの言語ゲームを分析し、言葉の荒波に溺れてしまわないための知恵を模索していきます。

ジャズもお囃子も規格化はできない

ジャズという音楽はない。 ジャズな人がいるだけ。 ジャズをやっていてもジャズじゃない人がいる。 音楽をやらなくてもジャズな人はいる。 これは、2014年の秋から放送が始まった「ヨルタモリ」という番組で、ジャズ喫茶の経営者を演じるタモリが何度となく…

寄生獣に見る「過大な正義感」の正体

地球上の誰かがふと思った 人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか…… 地球上の誰かがふと思った 人間の数が100分の1になったらたれ流される毒も100分の1になるのだろうか…… 誰かがふと思った 『生物の未来を守らねば……』 これは、岩明…

「もう助けませんよ」というのは駄目なんでしょうか?

2015年2月9日放送の「5時に夢中!」というテレビ番組の中で、読売新聞の以下の記事が紹介されました。 外務省は7日、イスラム過激派組織イスラム国の勢力圏があるシリア北部に渡航しようとした新潟県在住の50歳代の新潟県在住の男性に対し、旅券(パスポート…

イスラム世界から見た近代社会

勝てば官軍、負ければ賊軍。 このことわざは、たとえ道理にそむいても戦いに勝った者が正義となり負けた者は不正となるという意味であり、戦いの勝敗によって物事の正邪善悪が決まってしまうことを表しています。 今日私たち日本人は、近現代史の官軍である…

一神教ってなあに?

昔むかし、あるところに、七人家族が暮らしていました。「戦後日本」と、表札が出ていました。家族は両親と、五人のきょうだい。「日本国憲法」「民主主義」「市場経済」「科学技術」「文化芸術」という名の、いい子たちでした。でもある日、五人とも、養子…

政治との建設的なお付き合い

日本では、政治の話題というとその大半がネガティブなものになりがちです。 日々のニュースにおいても、ポジティブな情報よりはネガティブな情報の方がはるかに豊富なように思います。 そこで今回は、人生をのびのびと楽しむための建設的な政治との付き合い…

堂々となんとなく生きる

揺るぎない信念を持とう。その信念が、あなたの思考を力に変えるのだ。信念が願望や目標と結びついたとき、あなたの望みは実現する。 思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき 作者: ナポレオンヒル,Napoleon Hill,田中孝顕 出版社/メーカー: き…

確信できなくても大丈夫

前回「確固たる信念なんていらない」という記事を書かせてもらいましたが、これによって「そもそも信念なんていらない」と訴えているかのような誤解も招いたようです。 http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2015/01/04/102726 そうではなく、私が書きた…

確固たる信念なんていらない

あけましておめでとうございます。 去年の2月から始めたこのブログも何とか続いており、2014年の間に合計67本の記事を発信することができました。 今回は「なぜこんなブログをやっているのか」というそもそもの目的を、初心に戻って手短に紹介させていただき…

「支持政党なし」は詐欺か挑戦か

2014年の第47回衆議院議員総選挙において、日本の民主主義のあり方を根本から問い直すような衝撃的な出来事が起こりました。 北海道比例ブロックで立候補した政党「支持政党なし」が有効票の4.2%にあたる104854票を獲得し、既存政党である社民党の50364票や…

選挙に行かないのは非国民?

日本では、選挙のたびにその投票率の低さが問題になります。 メディアやネットには、選挙に行かない人の言い分を封じ込めるために、「投票しないやつには政治に意見する資格などない」「選挙に行かないやつは非国民だ」といった主張が溢れます。 それに対し…

嫌いな相手を追い詰める方法

2014年11月2日に放送された「ニュースな晩餐会」というバラエティ番組にて、小学校の宿題をお金で請け負う業者が紹介されました。 それによると計算ドリルなどの単純な宿題の代行だけでなく読書感想文や絵日記の代行なども行われているらしく、代行が教師に…

おすすめの叱り方を紹介します

あなたは正しい叱り方を知っていますか。 「叱る」という行為は、家庭・学校・習い事・職場など、社会のさまざまな場所で行われます。 中には「どう叱っていいのかわからない」と悩んでいる人もいるでしょう。 私は「このように叱るのが正しい」と言える方法…

どうせなら背中で語ろう

給食残してしかられた俺の体を本当に心配してたのか嫌いなもの口につめこまれた常識的な発言と非常識な行動だうまけりゃ喰う これはザ・ハイロウズの『ゲロ』という曲の冒頭の歌詞です。 ここには「あなたのため」という大義名分のもとに、嫌いなものを無理…

なぜ勉強しなければならないのか

なぜ勉強しなければならないのか。 これは、近代教育の制度がすでに完備された国々で、多くの子どもたちが頻繁に口にする愚痴です。 <a href="http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2014/04/08/084900" data-mce-href="http://mrbachikorn.hatenablog…

日本の英語教育は無意味か

巷でよく言われている学校教育への文句に「日本の英語教育は効率が悪い」というものがあります。 このクレームの主な根拠は、中学・高校と6年間も英語教育に時間を費やしておきながら、ほとんどの日本人が学校教育だけでは英語で話せるようにはなっていない…

子育てを失敗したと思っている親たちへ

学習は本能です。どんな人も伸びています。あなたの物差しでは測れなくても。 これは、前回紹介した『強育論』にある宮本哲也の言葉を、私なりの教育観に合わせてアレンジしたものです。 ちなみに、彼のオリジナルバージョンは以下の通りです。学習は本能で…

過干渉を戒める劇薬

学習は本能です。どんな子でも伸びます。親が余計なことをしない限り。 強育論-The art of teaching without teaching- 作者: 宮本哲也 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2004/03/17 メディア: 単行本 購入: 6人 クリック: 19回 …

お利口なワンちゃんが好きですか

「ホンマでっか!?TV」は、様々なジャンルの専門家や評論家たちに最新の研究結果や専門家の知見などを次々と披露してもらい、それに対して明石家さんまを始めとするタレントたちが面白おかしくリアクションを加えていくという情報バラエティ番組です。 この…

数学が得意になったわけ

私は小さなころから世間を狭くして生きてきました。 小学校が終わってから遊ぶ友達などもほとんどいないし、家は母子家庭で親は21時頃まで家に帰ってこないので、弟と家で遊ぶかテレビを見てボーっとするくらいしかやることがありません。 厳密に言うと、放…

国家の幻覚

普段は高校の非常勤講師として、数学を教えている私。 学校での授業はチャイムとともに始まりますが、チャイムが鳴るより前に教室に行くと生徒同士の雑談を耳にすることもあります。 そんな雑談の中で男子同士が「今回ばかりは積んだな」「次見とけよ」など…

集団心理という災害

東日本大震災が起きた2011年3月11日の昼すぎ、私はライブハウスで和太鼓演奏のためのリハーサルをしていました。 そのときはライブの準備で忙しくしていたため、「東北の方で地震が起きたらしい」という以上の大した情報は入ってきませんでした。 そうして夜…

歩兵教育の惰性

「安易に学級崩壊という言葉を使うのはおかしいのではないか」 そう私に語りかけてきたのは、小学校で勤める友人。 彼女は日本人なのですが、家族の仕事の関係で海外生活が長く、初等教育はドイツで受けています。 そのため彼女は、日本の初等教育のあり方を…

恋愛にたとえる数学

私の本職は高校の数学教師。 当ブログのテーマは人間を変容させてしまう言葉の影響力なのですが、こうした言葉へのこだわりも元々は数学との関わり方から生まれたものです。 http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2014/06/29/053200 数学とは、自然科学…

作り話の効用と賞味期限

当ブログの目的は、気付かないうちに私たちを洗脳していく言葉の影響力について、様々な角度から見つめ直していくこと。 http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2014/06/29/053200 中でも特に力を注いでいるのが、「言葉はそもそも何のためにあるのか」と…

生徒と語る自己啓発

以前「本当の幸せ」という記事で、この大袈裟な言葉に付きまとう「あなたは本当に幸せか」といった強迫的なメッセージの危険性について述べました。 <a href="http://mrbachikorn.hatenablog.com/entry/2014/04/30/191700" data-mce-href="http://mrbachi…

正しい子どもと複雑な大人

高校一年生の頃、私は筒井康隆の『やつあたり文化論』というエッセイ集と出会いました。 この本の冒頭に収録されていた「ゴルフ嫌い」というエッセイは、当時の私に強烈なインパクトを与えます。 やつあたり文化論 (新潮文庫 つ 4-9) 作者: 筒井康隆 出版社/…

脳は不調を自作自演する

肩こりや腰痛や手足の関節痛など、慢性的に起こる激痛の原因は何なのか。 ニューヨーク医科大学のジョン・E・サーノは1980年代にTMS理論という仮説を発表し、慢性痛に関するそれまでの定説に反旗を翻しました。 それまでの医学の常識では、脊椎の構造的な異…

内田樹と私

私が内田樹の文章と初めて出会ったのは、大学院生だった2005年の夏。 彼は2005年5月3日に投稿した「憲法記念日なので憲法について」というブログ記事の中で、トリッキーな独自の護憲論を展開していました。 http://blog.tatsuru.com/archives/000961.php 『…

立憲主義か封建主義か

2014年7月1日、日本の安倍内閣は集団的自衛権に関する憲法解釈の変更を閣議決定しました。 この話題について語る人々を1ヶ月近く観察してきましたが、「憲法の解釈を閣議決定で変更するのは民主主義の原則に反する」といった論調を見るたびに「この人たちは…