間違ってもいいから思いっきり(市井人の日曜研究)

私たち人間は、言葉で物事を考えている限り、あらゆるものを「是か非か」と格付けする乱暴な○×ゲームに絶えず影響されています。ここでは、万人が強制参加させられているこの言語ゲームを分析し、言葉の荒波に溺れてしまわないための知恵を模索していきます。

「死ね」と言われるような国でも楽しく生きる3つの方法

どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。
 
ふざけんな日本。
 
保育園増やせないなら児童手当20万にしろよ。
 
保育園も増やせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよねーってそんなムシのいい話あるかよボケ。
 
国が子供産ませないでどうすんだよ。
 
金があれば子供産むってやつがゴマンといるんだから取り敢えず金出すか子供にかかる費用全てを無償にしろよ。
 
 これは2016年2月15日にインターネット上で投稿された「保育園落ちた日本死ね!!!」という記事の一部を抜粋したものです。
http://anond.hatelabo.jp/touch/20160215171759
 この記事は、最初の一週間はインターネット上でどんどんと拡散されていき、二週目からはテレビでも「インターネットで話題の記事」としてポツポツと取り上げられ始めました。
 
 こうした待機児童の問題がなかなか解消されない現状の日本で、楽しく生きていくにはどうしたらいいか。
 そんな問題を考えるのに参考になりそうな、三者三様の意見を今回は紹介してみたいと思います。
 
 まず最初に紹介するのは「子育てに関する日本の現状を変えていこう」とする王道の意見です。
www.komazaki.net
 
 都内で13園の小規模認可保育所を経営している駒崎弘樹は、「政府はいろいろと対策をこうじており、平成25年あたりから保育所数は劇的に増えているが、認可保育所に申し込む人が増えたこともあり、待機児童は減らせず、むしろ若干増えている」と報告します。
 その上で、この問題を解消していくには予算の壁、自治体の壁、物件の壁という3つの壁を崩さなければならないと述べますが、これらの壁を突き崩せるほど政府はこの問題に関心を抱いていないと論じます。
 
 その現状認識の上で彼が提案するのは、政府に対してもっと怒ること。
 彼は、ベビーカーを押すママたちが区役所前でデモをしてメディアに取り上げられた「杉並保育園一揆」が杉並区の認可保育園増設を加速させた例を取り上げ、現状を変えるには行政が無視できないほどに議論を加熱させるためのロビイングが必要であり、結局のところそれらを実現するほどの熱量が足りていないから日本はこの現状に甘んじてしまっていると読み解きます。
 その意味で、この「保育園落ちた日本死ね!!!」のような叫びは必要なものであったと意味づけます。

働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)

働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)

 
 この正攻法の議論の欠点は即効性がないことであり、5~10年先に子どもを生みたい若者たちのために起こす行動としては有効でしょうが、今すぐ子どもを生みたい人たちの策としては適当ではないかもしれません。
 そうした「今すぐ子どもを生みたい人」のために役立ちそうな記事が、こちらの「保育園の第一志望受かったけどやっぱり日本死ね」です。
 そこで書かれていた基本的な心構えや、筆者が実施した策の概要を抜粋してみましょう。
http://anond.hatelabo.jp/touch/20160218153103
 
こと保育関連については、この国を「日本」だと思ってはいけない。
東南アジア中南米の行政糞国家の住民になったつもりで対策を立てた方がいい。
 
事実上、この国では首都で子どもを産み育てることは罰則の対象だ。
マジで日本死ね。
 
うちは夫婦ともに海外(非欧米圏)での駐在経験があったので、国家の政策や行政のケア能力や社会のセーフティネットを最初から信用しておらず、かつ地味な情報収集やかゲームの裏技探し的な作業が夫婦共通の趣味だったことで勝てた感じである。
 
保活は各地区や各家庭環境によって動き方が異なるため絶対の解はない。
だが、不幸にも子どもを生んだせいでこの糞国家と糞行政に自分の人生を壊されたくない人のために、うちが保活の各段階で何を意識して、何をやっていたかをここで書いておこうと思う。
 
妊娠が判明し、両親への報告と産婦人科受診が終わったら、すぐに区役所の保育園関連課(名称は各区で違う)詣でを開始。
赤ん坊がミリ単位のおさかな生物状態のときから動く。
 
この段階では区役所側もヒマなので、早めに動いている人は歓迎される。
こと保活問題に関して、日本国家と地方行政はわれわれの人生を破壊する最低のゲスどもだが、その怒りや恨みを末端の小役人にぶつけてはいけない。
恫喝などはもってのほか。
むしろ、誠意ある態度で手続きについて教え請い、好感を持たれるようにこちらの顔と名前を相手側に刷り込む。
 
~中略~
 
他の行政糞国家と違って札束攻勢が通じないため、とにかく相手がヒマなときに接触回数を増やして篭絡するほうがいい。
日本人は実利的な利益がなくても情実のある長期的な人間関係が成立すれば相手に便宜を図る傾向がある。
 
結果、わが家は区役所方面から、保育点数を増やす上で合法の範囲内だが際どい裏技をリークしてもらった。
 
 つまり、保育に関しては「行政が何とかしてくれる」なんて受け身の期待を日本では決して持ってはならないということ。
 相手が糞みたいな国家ならばわざわざそれを変えようとはせずに、相手が糞であることは前提として認めた上で「糞国家に上手く取り入る方法」を模索したということです。
 
 そして、最後に紹介するのは女優の山口智子のインタビュー記事です。
laughy.jp
 
 この糞みたいな国で楽しく生きるために紹介した一つ目の考え方が国の現状を変える活動をすること、二つ目の考え方が国は変えずに糞国家に合わせて対応することでした。
 ですが、この国の糞みたいな部分は、生みたくても生めないことだけではなく、生まない人を生きづらく追い込むことでもあります。
 
 子どものいる家庭を標準と見なし、子どものいない家庭に対しては「まだいない」と未熟扱いしたり、「欲しくてもできない」とか「不仲なのか」と勘ぐって異端扱いするような「子なしハラスメント」が、日本ではまだまだ恥ずかしげもなく横行しています。
 そんな現状に、山口智子は雑誌のインタビューでこう答えて対抗しました。

私は、子供のいる人生じゃない人生がいい
 
子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました
 
 つまり、この糞みたいな国で楽しく生きる3つ目の考え方は、子のいない人生を選ぶこと。
 そして、世間の糞みたいな「子なしハラスメント」を蹴散らすことです。
mrbachikorn.hatenablog.com
 
 国の現状を変える、糞みたいな国に順応する、子がいる人生ばかりに囚われない、楽しくは生きない、などなど、どの生き方を選ぶかは本人次第。
 最終的に、自分の納得のいく選択をしたいものです。
 
 
※毎週日曜日に更新している当ブログの主なテーマは、この世界を支配する「正しさ」という言葉のプロレスとの付き合い方。
mrbachikorn.hatenablog.com
mrbachikorn.hatenablog.com
そのプロレス的世界観を支えている固定観念の源を「記述信仰」と名付け、その実態を以下のような図にまとめて解説しています。

 
※そうした知恵を実践している私なりの生き様をサンプルとして提供するために、こちらのブログも毎日更新しています。
mrbachikorn.hatenadiary.jp